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FORMATA
プロトエイリアンプロジェクト

会期:2020年12月17日(木)~25日(金)10:00~17:00
入場無料 日曜休廊
会場:多摩美術大学八王子キャンパス
   アートテークギャラリー2F





FORMATA・・・地球外ミニ惑星における、柔らかく、活動的で、自発的なエージェント



地球表面には、40億年の間、大半の期間にわたって、水が潤沢に存在し続けている。この水は、地球上の生命体の化学組成で比較すると、いずれの生命体にも豊富にある流体である。とはいえ、水のみが、生命や能動的な物質のシステムがこの宇宙で進化できる唯一の環境条件ではないだろう。地球外の生命や能動的な物質なら、それがあらゆる面で特異な、あるいは、地球にありえないものである可能性さえある。そのような存在は、物質基盤として、たとえば脂質、糖、デオキシリボ核酸(DNA)以外の物質を使用するかもしれないし、メタンやアンモニアを、その液体環境として活用しているかもしれない。

「FORMATA」 は、水のないミニ惑星において繁殖し、平衡を回避する地球外的な、柔らかく、活動的で、自発的なエージェントである。隕石中にも見つかった、地球外有機物に似たもので構成されるこのエージェントは、ホルムアミド中で変形し、能動的に動き、自己分裂する。ホルムアミドは、その表面張力の大きさゆえに比較的 「丈夫な皮」 として作用し、それがエージェントの柔らかなボディーを壊さず形成され続けるのに役立つ。この能動的な集合体は、原始的な増殖を行い、予測不可能な振る舞いを見せる。自己組織化、分子の相互作用、単純な生理化学的プロセスによって、油滴は、平衡という静的な均衡状態から遠ざかる。非均衡な実体が、物質とエネルギーの流れが交わる、動的なシステムになるのである。

私たちにとって重要なのは、エイリアン集合体が地球外環境で遂行能力をもち、自律的にふるまう様子を、鑑賞者に体験してもらうことである。その狙いは、行動能力がその物質性に根差していて、そこに複雑なしくみや遺伝情報(RNAやDNAの分子)が不要であることを示すことにある。いいかえれば、自己組織化した組織、組み込まれた原始代謝、変形・移動・自己分裂の能力のすべてが、マテリアル・エージェンシーの形で、この集合体の中に存在することを示そうとしている。

有機物から能動的な集合体への転換に関して、ここで説明したような、地球外の、水のない生息環境を考える際に、この環境が本プロジェクトの液体環境に限定されたものではないことに留意して欲しい。ホルムアミドの濃度が高いことが知られている宇宙領域と接触がある、あるいは接触があった太陽系外惑星や衛星に、似たような条件が存在する可能性、あるいはすでに存在した可能性は排除できない。そのような場で、ホルムアミドの液体堆積物が存在すれば、水を用いない代謝と、水のない能動的な世界が宇宙のどこかにある、という興味深い可能性が拓かれる。

この展示では、エージェントのエイリアン性、および、それはまだ生命ではないものの、すでに多少なりとも生きているという認識が、いくつかの方法で確実に来場者に突き付けられる。そのため本プロジェクトでは、鑑賞者とエイリアン的な能動的物質との対面が、極めて重要になる。エイリアン的な能動的物質は、私たちが 「他者」 としての未知の存在を実体化する上で役立つだけでなく、私たちが、能動的な宇宙における自分の立ち位置を再評価せざるを得なくなる、という意味でも重要なのである。


プロトエイリアン・プロジェクト
プロトエイリアン・プロジェクト(Proto-A)は、非人間的なエージェンシー、生命らしさの程度、エイリアン生命をめぐる、交錯した議論と探求への関心から、2019年に始まった。このプロジェクトは、芸術的な表現のための能動的なメディアとして、地球外有機物(ETOM)の合成と利用を探求する。私たちは特に、水以外の液体の中での、地球外物質の自己組織能力、形態形成的性質、およびその能動的なふるまいに注目している。本プロジェクトは主に宇宙生物学、化学、メディアアートの交差点における、アイデアと実験のための学際的なラボである。私たちの目標は、ETOMを利用して、柔らかく、自発的で、知的なエージェントを成長させることであり、それは地球外環境において繁殖し平衡(死)を回避する、自給自足的な 「他者(Other)」 であり、人間にはまだ知られていない、新たな種類の地球外マテリアル・エージェンシーで構成される。

私たちはこうした物質のふるまいに対して、実験的なプロセスによる、ボトムアップのアプローチをとる。これは物質に形と組織化を押し付ける、造形的なトップダウンの手法とは逆のものである。私たちの作品は、形・ネットワーク・システムの制作ではなく、形・ネットワーク・システムの発見を強調する。つまり本プロジェクトでは、活動力を備え、自律的にふるまい、現実を作り上げる物質の行動により、ETOMは表現されたものではなく遂行するものとなる。


主催:プロトエイリアン・プロジェクト(Proto-A)
プロジェクトチーム:ホアン・カストロ・久保田晃弘・豊田太郎
ロックデザイン:奈古窯
協力:情報科学芸術大学院大学[IAMAS]
   多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース
   東京大学大学院総合文化研究科

本研究は JSPS 科研費 JP18K99293 の助成を受けました。

お問合せ:
多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース
〒192-0394 東京都八王子市鑓水2-1723
Email:idd@tamabi.ac.jp
電話:042-679-5634
FAX:042-679-5635


アートアーカイヴセンター | 2020年12月7日




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アートアーカイヴセンター | 更新:2020年8月26日